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  • 2020/10/2

院長コラム 右京医師会ホームページ掲載 健康アドバイス〈2020年10月号〉【京都双岡病院】


右京医師会ホームページ内の健康アドバイス〈10月号〉に京都双岡病院長 中西克己の記事が掲載されました。


  10月号 「不安と正しく向き合いながら、自分らしい生き方をする」

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、不安やストレスを感じておられる方も多いと思い
ます。ストレス社会と呼ばれる現在、人は何かしらのストレスに日々曝されています。

いわゆる文明社会は基本的にコントロール社会であるために、そんな社会の中では、失敗
するまい、なんでも完全にやろうと、無理な生き方している人が少なくありません。無理を
重ねれば、どこかにひずみが生じます。ひずみは心身にストレスを与え、さまざまな悩み、
苦しみへとつながっていきます。対人関係の悩みや、漠然とした不安感、気分の落ち込み等、
悩みの内容はいろいろですが、いずれも、おおもとには生き方の無理があるといっても過言
ではありません。
 
 人が不安に思うことは、ごく自然なことだと受け入れ、その向き合い方を説く日本生まれ
の精神療法が近年再び注目されている森田療法です。
 西洋生まれの精神療法は、不安を生みだしている原因を探り、それを意識することを重視
します。思考は感情より上位にあり、思考を働かせることによって、不安などの不快な感情
はコントロールできると考えているからです。つまり、不安を病理と捉え、それを乗り越え
ること、又は、取り除くことを目標にします。
 一方、森田療法では、悩みの原因探しは重要視されません。その根底には、不安を感じる
ことは自然なことであり、自然に反したとき、悩みが深まっていくのだという東洋的な考え
があるからです。不安を特別視する西洋とは異なり、東洋では心も体も自然の一部で、通じ
合うものと考えます
(心身一元論)。

 森田療法では「不安」と「欲求」は表裏一体であるいう考え方をします。人は不安や不快
感など、自分のなかの受け入れがたい感情を何とか解決したいと思うわけですが、解消でき
るものと、できないものがあります。不安をまず取り除きたいと考えれば、常に不安に注意
が向き、逆にそれに「とらわれて」しまいます。したがって、不安な気持ちを持ちながら、
その背後にある本来の欲求に従って、できることから行動に踏み出してみる。そうしたこと
を通して、過度な不安からの解放、そして自分らしい生き方や「あるがまま」の姿勢を身に
つけていくことを目指していくのです。
 また、「事実唯真(ただしん)」、つまり「事実本位」が強調されています。「気分本位」
から「行動本位」へと促すのです。例えば、病気を恐れる気持ち自体は自然なことであり、
怖いからこそ、そこで自分は何ができるかを探っていくことが事実に即した態度だというわ
けです。

こうした森田療法の悩みの捉え方が、不自然な生き方が増えているいまの時代に、改めて
必要なのではないでしょうか。 

      

 一般社団法人 右京医師会 中西 克己



※右京医師会ホームページ内の
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